森主明日香さん
全日本ピアノコンクール2025 小学生低学年の部で最優秀賞金賞に輝いた、森主 明日香さん。今回は、普段どのようにピアノに向き合っているのか、最優秀金賞を受賞するまでの道のりなどを、お母さまにもご同席いただき、じっくりとうかがいました。
森主 明日香さん
小学1年生にして数々の賞を受賞している、明日香さん。全日本ピアノコンクール2024全国大会 未就学の部 銅賞受賞、2024年度 第34回日本クラシック音楽コンクール ピアノ部門 幼児女子の部 第5位、2024年第48回ピティナ・ピアノコンペティションA2級本選優秀賞、2024年第26回ショパンコンクールインアジア全国大会出場、2025年第4回ミモザみんなのコンクールA1スタンダードコース1位受賞、2025年第49回全日本ジュニアクラシック音楽コンクール全国大会奨励賞受賞など、さまざまな大会で華々しい成績を収めています。
「全日本ピアノコンクール」へ出場したのは2024年のこと。テュルクの『ソナチネ』を演奏した明日香さんは見事、未就学の部で銅賞に輝きます。広い空間で人前に出て演奏するという“初めての大舞台”でしたが、「緊張は全然しなかった」と明日香さん。音が美しく響く神奈川県立音楽堂の素晴らしさに感動し、「また同じ場所でピアノを弾きたい!」と、さらに高みを目指して2025年も出場を決めました。「メロディがきれいだから」と選んだ曲は、『アヴェ・マリア』と『木洩れ日のエチュード』。先生やお母さまと色々な曲を聞いて、話し合い、決めたといいます。前年に引き続き「緊張はしなかった!」と、堂々と伸びやかな演奏で見事、最優秀賞金賞を獲得しました。
自宅での練習の様子
最優秀賞金賞が決まった時には、親子そろって、嬉しさよりも驚きの方が大きかったといいます。お母さま曰く、「娘はホールの空間を楽しんでおり、自分らしく弾けたという自信はありましたが、ミスもあったため、まさか最優秀賞がもらえるとは思っていませんでした」とのこと。しかし審査員の先生方からは、「和声感」「美しい色彩の変化」「曲全体がひとつの物語のよう」「素敵な情景が目に浮かぶ」「音楽へ向かう強い意志」などのコメントが寄せられ、日々大切にしていたことが認められて喜ばしいと同時に、より一層、気を引き締めて練習に向かいたいという気持ちが芽生えたといいます。
小さい頃の練習風景
明日香さんがピアノを始めたのは3歳のとき。きっかけは、同じく小さい頃からピアノを習っていたお母さまでした。「わたしが弾いている横で手をグーにして鍵盤を叩いたり、リズムにのって踊ったりしていたので、遊びの延長でピアノを習い始めました」。お母さまが合唱団に所属しているときの友人から紹介してもらった菊地葉子先生の元で、ピアノの世界へと入ります。
「毎日の練習は大変だけど、遊びながら演奏するのは楽しい」と目を輝かせる明日香さん。まだ小学1年生の娘さんを鍵盤に向かわせるため、日々の練習には“お母さまならではの”工夫が詰まっていました。「普段は基礎練習を15分、曲の練習を20分から1時間ほどしていますが、娘は何時間も集中できるタイプではありません。だから休日には朝30分、昼30分、夜15分と時間を分けて練習しています。座ってすぐに曲を弾き始めるのではなく、まずはアイドリングで大好きなジブリや即興の自作曲を弾いて、スイッチを入れてから練習に入ってもらいます」とのこと。そして普段から大事にしているというのが、「音楽をイメージして演奏する」ということです。「娘は読書が好きなので、想像力を活かした練習でモチベーションを高めてきました。例えばピアノの蓋を閉めて目を瞑り、“ここは高さが天井まで100mある壮大な大聖堂。赤や黄色、エメラルドグリーンやスカイブルーのキラキラしたステンドグラス!なんて美しいの!天井の上にいる白い鳥が一緒に歌いたくなる!”と情景を思い浮かばせて弾いてもらいます。他にも絵を描くことが好きなので、曲を聞いて絵を描いてもらったり楽譜に色をつけてもらったり、作曲家がどのような気持ちでその1小節を作ったのかを想像してから弾くこともあります。」
ジブリの音楽が大好きな明日香さん
ずっと鍵盤に向かうのではなく、遊び弾きやお絵かきなど、明日香さんの楽しみの時間も取り入れながら日々の練習に向き合わせているというお母さま。普段から先生はもちろん、親子で会話をたくさん積み重ねて曲を完成に近づけていくという、明日香さんの性格を活かしたオリジナルの練習が強みになっているようです。
「ピアノは、黒と白の鍵盤を組み合わせてオシャレなハーモニーを生み出せるところが好き」という明日香さん。自分が発見した音色にぴったりのメロディを思いつくことができると、テンションが上がって楽しくなるといいます。一方で今回のコンクールでは、自分の理想の演奏に近づくために何度も何度も繰り返し弾き続けることに、とても苦労しました。そこで明日香さんが心がけたのが、「ゆっくり練習」です。「最初から最後まで、一曲を通して弾きたくなっちゃうけど、弾けないところをゆっくり何度も練習したから上手になれたと思う。ゆっくり弾くことは大事だと分かりました」と明日香さんは教えてくれました。間違いやすい小節だけでなく、時にはひとつの音だけを何度も繰り返し弾き、スマホで録画をして確かめながら、納得のいく理想の音色を探し続けました。「本番で満点の演奏ができたわけではありませんが、60点くらいの完成度のものを100点にもっていく苦しさを、本人なりに努力して向き合っていたと思います」と、近くで見守っていたお母さまも痛感していました。
テニスをする明日香さん
そんな明日香さんは普段から好奇心旺盛で、ピアノの他に、ダンスやテニス、水泳も習うなど、とってもアクティブ。テニスも好きで、よくお父さまと練習しているそうです。また、小さい頃から本を読むことも大好きで、いまは3歳の妹さんに読み聞かせをしてあげることがブーム。時々、自分で物語を作っては、紙芝居にして読んであげているといいます。
休日は家族でお出かけを楽しむ
休日には家族で必ずお出かけするようにしていて、「動物園や植物園で目にする自然の景色から、演奏の表現を育んでもらえれば…」とお母さまはおっしゃいます。明日香さんが奏でる表情豊かなメロディの背景には、ご家族と過ごす毎日の経験が大きく関係していることでしょう。
将来は「パティシエ」になりたいという明日香さん。お母さまは「継続は力なり」という言葉を大切に子育てしているそうで、上手くいかないことがあってもコツコツ続けることを大切に、強い想いを持って「やりたいこと」に向かってほしいとおっしゃっていました。
自分のピアノを聞いてくれた人に、楽しい気持ちと感動を届けたいという明日香さん。これからどのような音楽の1ページを開いてくれるのか、楽しみで仕方ありません。
全国大会での森主明日香さんの演奏はこちら。
